2016年4月24日日曜日

二つの国民、社会階級と収入

 ヴィクトリア朝が厳密な階級社会であることは皆さんご存知と思われます。爵位の有無だけでなく、職業や収入によっても階級が形作られました。階級の差はこの時代の人々の間に超えることのできない壁として横たわっていました。この時代の代表的政治家、ベンジャミン・ディズレーリは『二つの国民』とこのことを形容しました。今回は社会的階級や階級に見合った収入について解説できればと思います。
救貧院での食事の様子。救貧院では粗末で少量の食事にもかかわらず過酷な労働を強いられていた。
オリバー・ツイスト少年の「もう一杯ください」という哀願が思い起こされる。
上流階級の人々の晩餐の様子。贅の限りを尽くしたコース料理が何皿も用意された。
まず、イギリスには6つの社会階級があるといわれます。その階級とその階級に値する職業を紹介していきます。カッコ内はガスライトでの階級です。
※もっと大雑把であったり細かかったりする場合もあります。

アッパー(上流):貴族、準貴族、ジェントリ
アッパーミドル(上流~中流):弁護士、内科医、将校など
ミドル(中流):学者、中小経営者、専門職(職人)など
ローワーミドル(中流~下層):教師、兵士、警官など
ローワー(下層):労働者、使用人など
ロウイスト:売春婦、物乞いなど

 ガスライトにおいてはロウイストを除いた階級が設定されていました。ちなみにガスライトの収入ロールは探索のしやすさから本来より裕福になるようにされていました。本来の収入に照らし合わせるときっとこのようなロールになると思われます。ローワーで(1d4+2)*20£、ローワーミドルで(1d10+3)*25£、ミドルで(2d6+6)*50£アッパーミドル以降は収入の平均値というものが分からないのでどうしようもありません。事業に成功し巨万の富を手に入れたものの出自から上流階級として扱われない人もいましたし、上流階級であったものの屋敷を手放さざるを得ないほど零落した人物もいるからです。

さて、ここからは収入とそれに見合った使用人の数について紹介していきましょう。
ハードウィック伯爵の邸宅エルディグの使用人たち。服装によって職種が違った。
この写真に映っていないどちらかといえば下級の使用人たちもたくさんいただろう。
ヴィクトリア朝において使用人を雇うことは日常的なありふれたものでした。20世紀の初め英国の80万世帯で使用人が雇われていたと記録されています。階級的に言うならローワーミドル程度の収入から使用人を雇うことは可能でした。男性使用人は女性使用人に比べ税金が重いため女性が多く雇われる傾向にありました。

収入100£程度...メイド・オブ・オールワークスを一人
  300£程度...コック、ハウスメイド、ナニーの3人程度、男性使用人を雇う余裕はない。
  1000£程度...フットマンなど男性使用人が雇われるようになる。メイドは複数になった。
  5000£程度...執事などの上級職が加わる。ほぼ全種の使用人を雇用できた。
※ビートン夫人を参考としたためヴィクトリア朝末期では少々様相が違ったかもしれません。
使用人の様々な種類が出てきましたが、説明していると長くなるので次の機会に...

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