2016年4月23日土曜日

紳士淑女たるもの

紳士淑女と聞いて粗野な人間を思い浮かべる方はいないと思われます。社交界が戦場である上流階級の人間にとってエチケットは武器と言って差支えないでしょう。エチケットはガスライトにおいては使用人の職業技能欄に何の説明もなく記載されています。(これが上流階級の職業の職業技能になっていないのは大きな謎ではありますが...)

...というわけでこの機にまず紳士の基本的なエチケットをご紹介したいと思います。

1.馬に乗ったり通りを歩いたりするときは、必ず女性に道の端を譲る。
  (この時代道の中央寄りは馬の排泄物等で汚れていることが多かった。)
2.階段を上るときは女性の前を歩く。降りるときは女性の後ろをついていく。
3.馬車に乗るとき男性は後ろ向きの席をとる。家族でない場合は隣に腰かけてはならない。
4.馬車を降りる際はまず自分が先に降り手を取って降ろしてやる。
5.演奏会などにおいてはまず自分が先に入り彼女の席を見つける。
6.同じ建物内で女性か年配の男性と出くわしたときは必ず帽子をとる。
7.初対面の場合男性が女性より先に紹介される。
  (人を紹介する場合初めに地位の劣ったものから紹介されていた。)
8.男性は女性の前でタバコを吸ってはならない。
9.顔見知り程度の女性と出会ったときは彼女が気づき会釈してくれるまで挨拶してはならない。
  また挨拶は遠く離れた場所から帽子を持ち上げるにとどまる。
  この場合女性が話しかけてくれるまで男性は女性と話してはならない。
10.親しい女性と出会い彼女が話したい様子であったら彼女の歩くほうへと向きを変える。
  女性を立たせたままにしておくようなことがあってはならない。

馬車だけでなく列車であっても車であっても男性は女性が降車する手伝いをすべきである


次に淑女のエチケットをこれもまた基本的なものをご紹介します。

1.女性は朝早く教会か公園へ歩いていく場合を除いて一人で歩いてはならない。
  必ず別の女性か男性、使用人と一緒である必要がある。
2.仕事上の相談を除き女性は男性宅を一人で訪問してはならない。
3.女性は午前中ダイヤモンドと真珠を身に着けてははならない。
4.舞踏会において同じパートナーと3回以上踊ってはならない。
5.女性は社交場で参加者に気づかなかったフリをしてはならない。
  交際を続けたくない男性がしつこく色目を使ってくる場合のみ無視が許される。
男性にとって女性と知り合うことは光栄なことである。

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